【土木鋼構造診断士】専門記述式過去問解答例「耐候性鋼」

 成分元素の耐候性向上への効果は、Pが最も大きく、次いでCu、Crと言われており、これらの元素を含有した耐候性鋼板が橋梁、建築、車両などの広い分野で使用されている。普通鋼では、鋼材の表面に空隙の多い租なさび層が形成されるが、耐候性鋼では、緻密なさび層となり、これが保護皮膜の役割を果たして、腐食の進行を抑制する。

 耐候性鋼では、その表面に緻密なさび層が形成されるまでの期間は、普通鋼材と同様にさび汁が生じる。そのため、飛来塩分量が少ない地域では無塗装で用いることができるが、初期さびの生成抑制や、緻密なさび層生成促進のため、安定化補助剤が併用される場合がある。耐候性鋼材にとって、塩分の付着や長期間の滞水などは、緻密なさび層生成の阻害や色調の変化などの原因となるため、個別に適用の妥当性を確認する必要がある。

 近年、鋼構造物の塗装の塗替えなど、維持管理費用低減が要求されるようになり、耐候性鋼材のより有効な使用方法が検討されている。橋梁分野では、耐候性鋼材を使用して無塗装とすることで、橋梁の維持管理費の低減を期待して、耐候性鋼橋梁の採用が増えている。

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