【土木鋼構造診断士】専門記述式過去問解答例「浸透探傷試験」

1.試験の原理

 浸透探傷試験(PT)は、肉眼では見つけることが困難な割れなどを、人間の目で容易に見つけることができる大きさの指示模様にして検出する試験方法である。見やすい色の液体、あるいは蛍光する液体を、材料表面に開口している幅の狭い割れや径の小さい孔に浸透させるため、毛細管現象を利用している。この液体が浸透した後、試験体表面に微細な隙間が無数にある被膜が形成され、浸透した液体が被膜に吸い出されることで、指示模様が現れる。通常、探傷には浸透液、洗浄液、および現像剤の3種類の探傷剤が使用される。

2.試験の手順

 浸透探傷試験の手順は、前処理、浸透処理、洗浄処理、現像処理、観察および後処理の6つの処理作業からなる。前処理は、試験範囲の塗装やさびなどをワイヤブラシ等を用いて丁寧に除去し、地肌を完全に露出させる必要がある。現像処理では、指示模様が時間の経過とともに拡大するため、一定の評価には、現像開始から観察開始までの時間をあらかじめ決定する必要がある。観察の際には、試験面の明るさ、現像開始から観察開始までの時間、現像被膜の濃度、均一性等の条件を満足することで初めて欠陥指示模様の評価が可能となる。

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