【土木鋼構造診断士】専門記述式過去問解答例「放射線透過試験」

1.試験の原理

 放射線透過試験は、試験体に一様な強さのX線を照射し透過させ、これをX線フィルムや蛍光板で受けて可視像を作り、欠陥を調べる方法である。試験体の内部の状態をほぼ実態に近い状態で確認できる唯一の非破壊検査方法であり、鋼材では30mm程度まで適用可能である。広く利用される直接撮影法は、透過させたX線の強さの変化を直接X線フィルムに感光させ、現像して得られる透過写真の濃度を観察する方法である。直接撮影法は、小さい欠陥の検出に優れており、フィルムが記録として保存され、欠陥の形状、寸法、位置が直観的に把握できる利点がある。

2.安全管理

 放射線を被ばくすると人体に障害が生じることは、周知のとおりである。被ばく者自身に障害が出なくても、遺伝子に影響を及ぼすことがあるので、放射線を取り扱う際には細心の注意を払わなければならない。また、放射線は直進するだけでなく、試験体や周囲の壁、床、天井などから散乱することにも注意が必要である。

 放射線の使用に際しては、「労働安全衛生法」などによる規制がなされており、X線の使用に際しては、「エックス線作業主任者」の有資格者による管理指導の下に実施しなければならないことが規定されている。

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