【土木鋼構造診断士】専門記述式過去問解答例「過流探傷試験」

1.試験の原理

 交流電流を流したコイルが作る磁界中に金属を置くと、渦電流が発生し、コイルを一定速で移動させると渦電流が金属表面に沿って移動する。しかし、試験体の表面にきずがあったり、表面の電気的、磁気的な性質が変化していると、渦電流が変化する。過流探傷試験(ET)は、この変化を妨げようとするコイルの抵抗変化を検知し、きずや材料の選別を行う試験である。過流探傷試験は、媒体がいらず非接触で実施でき、加える交流の周波数に比例して高速で試験を行うことができる特徴を持つ。

2.コイルの種類

 過流探傷試験に用いられるコイルは大別すると3種類である。貫通コイルは、トンネル状の丸い巻枠に巻線され、その内部を管、棒や線などの試験体を通過させる。内挿コイルは、丸棒状の巻枠に巻線され、これを管内部に挿入し、前後方向に移動させる。上置コイルは、ペンシル状の先端部分に巻線し、先端部を板やスラブなどの試験体に接触させる。

3.試験の留意事項

 渦電流はきずの存在以外にも、ノイズの発生や断面形状が複雑で走行方向に変化するような場合では探傷が難しい。また、試験前に対比試験片を用いて欠損の判定精度を確認しておく必要がある。

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