【土木鋼構造診断士】専門記述式過去問解答例「SBHS」

 近年、様々な機能や性能を有した鋼材が開発されており、これらの従来使用されてきた鋼材より優れた性能を有する鋼材は一般に高性能鋼材と言われている。

 SBHSは橋梁で必要とされる高い降伏強度、製作性(溶接性、加工性)および耐候性に優れた性能を有する鋼材として開発された。

 橋梁に用いる鋼材の溶接性を向上させることは、製作を効率的かつ経済的に行う上で重要である。従来の高強度鋼では、溶接施工時の予熱作業負担が大きいという課題があったが、SBHSでは溶接割れ感受性組織PCMを低くすることで、予熱の低減や省略を図っている。また、鋼材の加工性については、道路橋示方書では鋼材の靭性低下に配慮して、板の内側曲げ加工半径の最小値を15t(t=板厚)と規定している。SBHSでは、十分なシャルピー吸収エネルギーを確保することで、7tあるいは5t程度の小さな曲げ加工半径に対応できる仕様を有している。

 以上のように、従来鋼に比べて、高い性能を有するSBHSを橋梁に適用することで、設計の合理化や製作の効率化などが期待される。

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