【土木鋼構造診断士】専門記述式過去問解答例「超音波探傷試験」

1.試験の原理

 超音波は、金属などの物体中をよく伝搬し、輪郭のはっきりとしたビームで、一定方向にだけ伝搬し、物体の端面や異なる材質の物体との境界面で反射する性質をもつ。超音波探傷試験(UT)は、この超音波の性質を利用して、物体の内部欠陥の有無、その欠陥の位置と大きさを調べる方法である。金属材料の超音波探傷には、周波数1~5MHzの超音波が用いられ、垂直探傷には縦波、斜角探傷には横波が使われる。

2.試験の種類

2.1.垂直探傷

 探傷面に垂直に縦波の超音波を入射させる方法で、超音波ビームが欠陥などの反射源によって反射し、ブラウン管上にエコーとなり、探傷図形として現れる。欠陥までの距離や試験体の厚さが測定でき、主に鋼板などの検査に用いられる。

2.2.斜角探傷

 探傷面に斜めに横波の超音波を入射させる方法で、超音波ビームが欠陥などの反射源によって反射し、ブラウン管上に欠陥エコーとして現れる。垂直探傷と異なり、超音波ビームが斜め方向に進むため、底面エコーが現れない。主に溶接部の検査に用いられ、欠陥に超音波が直接当たる直射法と、溶接余盛が邪魔で接触子が近接できない場合に適用できる一回反射法がある。

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