令和2年度技術士第二次試験(建設部門)選択科目Ⅱ-2-2を例にとって解説したいと思います。
令和2年度 選択科目Ⅱ-2-2 設問
道路の地下空間には、様々な占用物件が埋設されているが、近年、占用物件の老朽化に起因する路面陥没や上水道の断水といった事象が発生し、問題となっている。これらの事象を踏まえ、市街地での舗装修繕工事の計画を立案する担当責任者として、下記の内容について記述せよ。
(1)調査・検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)業務を進める手順と、その際に留意すべき点、工夫を要する点を含めて述べよ。
(3)業務を効率的・効果的に進めるための、関係者との調整方策について述べよ。
【関係者との調整方策】の書き方
この設問に対する全体の解答例はこちら。
では早速解答例から見ていきましょう。
【解答例】
(3)関係者との調整方策
関係者としては、道路管理者、交通管理者、占用物件管理者及び、道路利用者、周辺住民等が予想される。
各管理者との協議では、双方の誤解が無いよう協議内容を書面により共有する。また、WEB会議システム等の活用により、リアルタイムでの情報共有や協議の円滑化を図る。
道路利用者、周辺住民に対しては、施工中の交通規制等をわかりやすく説明するため、3D設計図面やフォトモンタージュを活用する。
【解説】
選択科目Ⅱ-2(3)で問われている資質は、コミュニケーション、リーダーシップであり、特に求められるのがリーダーシップであると考えます。まずは、リーダーシップの確認から。
「リーダーシップ」
・業務遂行にあたり,明確なデザインと現場感覚を持ち,多様な関係者の利害等を調整し取りまとめることに努めること。
・海外における業務に携わる際は,多様な価値観や能力を有する現地関係者とともに,プロジェクト等の事業や業務の遂行に努めること。
【解答のポイント】
①多様な関係者を漏れなく記載する
リーダーシップを発揮するにあたり、関係者が誰なのか把握できていないと話になりません。予想される関係者を漏れなく記載することが最低限必要であると考えます。
②管理者との協議は書面共有(最近ではICT活用がキーワード)
道路管理者や、交通管理者との協議は双方の誤解を防ぐため、書面により共有することが重要です。このことは確実に記載しましょう。また、コロナ渦により急速に発展するWEB会議方式や電子署名などのICT活用事例を記載することで高得点が期待できると思います。
③地権者や利用者へのビジュアル的な説明
管理者と協議する計画図面や設計計算書は一般の方にとってわかりずらいものです。ですので、3D設計図面やフォトモンタージュなどを活用した、視覚的にわかりやすい説明をすることを記載しましょう。
まとめ
選択科目Ⅱ-2(3)については、ある程度事前にテンプレートを用意することをお勧めします。用意するテンプレートはそれぞれの指導者の方に添削してもらいましょう。
今回の記事はあくまで私の考えです。これが正解かどうかはわかりません。「このような考え方もあるのだな」と少しでも誰かのためになればと思います。
また、この記事はあくまで論文を書く際のテクニックを紹介しています。