1.問題と課題の違い
これは(1)を記載する上で重要な要素です。問題と課題をはっきり書き分けないと意味が分からない文章が出来上がります。
問題とは目標と現実の差 =ネガティブ
課題とはその差をなくすためにすべきこと =ポジティブ
これをしっかりと意識して論文を記載するようにしましょう。
2.課題の書き方
○例題
令和2年度 必須科目Ⅰ-2
我が国の社会インフラは高度経済成長期に集中的に整備され、建設後50年以上経過する施設の割合が今後加速度的に高くなる見込みであり、急速な老朽化に伴う不具合の顕在化が懸念されている。また、高度経済成長期と比べ、我が国の社会・経済情勢も大きく変化している。
こうした状況下で、社会インフラの整備によってもたらされる恩恵を次世代へも確実に継承するためには、戦略的なメンテナンスが必要不可欠であることを踏まえ、以下の問いに答えよ。
(1)社会・経済情勢が変化する中、老朽化する社会インフラの戦略的なメンテナンスを推進するに当たり、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し、その内容を観点とともに示せ。
★タイトル
タイトルなんかどうでもいいと思っているなら大間違いです。コンピテンシーの内、コミュニケーション能力を図る上で重要な要素です。
まずは大見出しです。ここは問題を読まなくても何の論文なのかわかるような文章がいいでしょう。この問題で明らかに重要であると思われるキーワードを抜き出すことがおススメです。なのでここは、
(1)戦略的なメンテナンスを推進するための課題
というような感じでしょうか。これだとこの大見出しだけで何の論文なのかはっきりわかりますよね。
※番号のつけ方にも決まりがありますが、私は採点の容易さを重視して問題番号と一致させるようにしています。
次は小見出しです。ここは問題文に「多面的な観点から課題を抽出し、その内容を観点とともに示せ」とありますから、明確に課題を記載すると良いでしょう。たとえば、
①新技術の活用
などが挙げられます。また、令和2年度から始まった、「観点とともに示せ」という問題の場合は、
①新技術の活用(人手不足の観点)
のように、タイトルに観点を明記してしまってもいいでしょう。
★本文
では本番(課題の書き方)に入りましょう。私のおススメは現状→問題(目標と現実の差)→課題という書き方です。新技術の活用を課題として取り上げるならば、
我が国では、今後10年以内に建設従業者の約1/3が高齢化により定年退職を迎えると予想されており、メンテナンス技術者の不足が懸念される。技術者の不足は、社会資本の適切なメンテナンスを不可能とし、インフラのストック効果を著しく低下させる。そのため、メンテナンス業務の省人化を図る、新技術の活用が課題である。
どうでしょうか?「我が国では、今後10年以内に建設従業者の約1/3が高齢化により定年退職を迎えると予想されており、メンテナンス技術者の不足が懸念される。」の部分が現状、「技術者の不足は、社会資本の適切なメンテナンスを阻害し、インフラのストック効果を著しく低下させる。」が問題、「そのため、メンテナンス業務の省人化を図る、新技術の活用が課題である。」が課題を示しております。
この現状→問題(目標と現実の差)→課題という型を自分の型にして論文を記載しています。誰かの参考になれば幸いです。