想定問題 Ⅱ-1-1
道路の計画・設計において用いられる限界曲線半径について、その概念と設定にあたっての考え方について述べよ。
解答例
1.概念
限界曲線半径とは、緩和曲線を省略できる曲線半径の限界を定めたものである。
緩和曲線を挿入する場合は、直線と円曲線を直接接続する場合に比べて、移程量Sが生ずる。この移程量が車線幅に含まれる余裕幅に比べ、十分小さい場合には、直線と円曲線を直接接続させたとしても、移程量が車線幅の中で十分確保され、実際の走行は直線部で緩和走行することができる。
2.考え方・算定手法
限界曲線半径を算定する場合の限界移程量は0.20m程度あれば物理的に充分である。移程量Sを0.20mとした場合の限界曲線半径Rは、設計速度Vを用いて、R=0.145V2と定められる。
しかしながら、限界曲線半径の値は、緩和曲線の長さを最小に選んで算定されたものであり、本来もう少しの余裕が必要である。そこで、ドイツにおける経験則R/3≦A≦Rを基に、遠心加速度の変化率等を考慮し、視覚的にも走行的にも運転者の快適性を損なわないために、標準限界曲線半径が定められている。標準限界曲線半径は限界曲線半径の2倍程度として定められ、以下の表の通りである。
設計速度V | 120 | 100 | 80 | 60 | 50 | 40 |
標準限界曲線半径R | 4000 | 3000 | 2000 | 1000 | 700 | 500 |