【キーワード対策】第2次交通施策基本計画

 令和3年3月に発表された第2次交通施策基本計画についてその概要をまとめます。

第2次交通施策基本計画

我が国の課題

○人口減少・少子高齢化への対応

○デジタル化推進・DXの推進

○防災・減災、国土強靭化

○2050年カーボンニュートラルの実現

○新型コロナ対策

※2050年カーボンニュートラルとは?引用:環境省(2050年カーボンニュートラルの実現に向けて)

 2020年10月に菅義偉内閣総理大臣が「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言した。

 ※温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするとは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量から、森林などによる吸収量を差し引いてゼロにすること。

 これらの課題は、交通に限ったことではなく、国全体の課題であり、必須科目の課題提起にも応用できます。しっかり体系的に整理しておきましょう。

交通が直面する危機

○地域におけるモビリティ危機(需要縮小による経営悪化、人手不足など)

 人口減少・少子高齢化、東京一極集中などの影響。

○慢性的な混雑などサービス低下

 上記とは逆の都市部における課題。需要の局所的集中。

○デジタル化、モビリティ革命などの停滞

 ETC2.0、自動運転技術などの導入の遅れ。

○物流における深刻な労働力不足

 トラックドライバーの高齢化、賃金問題など。

○交通に係る安全・安心の課題(自然災害・老朽化・重大事故など)

 災害の激甚化・頻発化、インフラの一斉老朽化、高齢者による逆走事故など。

○運輸部門での地球温暖化対策の遅れ

 我が国におけるCO2排出量の18.5%を運輸部門が占める。運輸部門における自動車による排出量は全体の86%。運輸部門の排出量自体は2001年をピークに減少している。

 これらの危機を理解することで、選択科目Ⅲの課題提起に役立ちます。応用できるように体系的に整理しておきましょう。

交通施策の基本方針(解決策)

A.誰もが、より快適で容易に移動できる、生活に不可欠な交通の維持・確保

①地域が自らデザインする、持続可能で多様かつ質の高いモビリティの実現

 地域公共交通の維持確保などありますが、やはりトレンドはMaaSの実装ではないでしょうか。MaaSの概要および期待される効果については、こちら

②コンパクト・プラス・ネットワークの推進とまちづくりとの連携強化

 まちづくりと公共交通の連携はもはや必須といえます。まちづくりにおいては、スマートシティの創出がトレンド。徒歩や自転車の活用が重要です。

③交通インフラ等のバリアフリー化、ユニバーサルデザイン化の推進

 バリアフリー整備目標の実現。心のバリアフリーの強化。

④観光やビジネスの交流拡大に向けた環境整備

 インバウンドの受入環境整備。移動そのものの観光資源化

B.我が国の経済成長を支える、高機能で生産性の高い交通ネットワーク・サービスへの強化

①人・モノの流動の拡大に必要な交通インフラ・サービスの拡充・強化

 新幹線、リニアの整備促進。基幹的な道路連絡網、4車線化。国際海上コンテナ車対応の重要物流道路の整備推進。空港の機能強化。これらはハード整備の取組として整理しておきましょう。

②交通分野のデジタル化などによる交通産業力の強化

 こちらはソフト対策がメインですね。行政手続のオンライン化。交通関連情報のデータ化。自動運転の実現。無人航空機による貨物配送。インフラの海外展開など

③サプライチェーン全体の徹底した最適化などによる物流機能の確保

 物流分野のデジタル化や自動化・機械化。共同輸配送・倉庫シェアリング・再配送削減。重要物流道路などの物流ネットワーク構築。

C.災害や疫病、事故などの異常時にこそ、安全・安心が徹底的に確保された、持続可能でグリーンな交通の実現

①災害リスクの高まりや、インフラの老朽化に対応した交通基盤の構築

 インフラの耐震化、津波・高潮対策など。TEC-FORCEの機能拡充・強化。BCP策定・防災訓練の実施。インフラの老朽化対策。

②輸送の安全・安心の確保と、交通関連産業を支える担い手の維持・確保

 新型コロナの衛生対策などの支援。安全な自動車。運輸安全マネジメント。働き方改革。

③運輸部門における地球温暖化対策等の加速化

 次世代自動車の普及。公共交通の利用促進。グリーン物流。エコエアポート。カーボンニュートラル。ゼロエミッション船。

論文への活用に向けて

 我が国の課題、交通分野の危機については、整理しておくことで選択科目Ⅲのみならず、必須科目Ⅰへの応用が可能です。体系的な知識を習得し、アウトプットできるように訓練しましょう。

 解決策の論文への応用は、上述した交通施策の基本方針を暗記するだけでは不十分です。基本方針のボトルネックの抽出、そのボトルネックの解決策を記述する必要があります。また、令和2年度から波及効果の記載を求める問題が増えましたので、それぞれのキーワードを深く理解しておく必要があります。各キーワードについても順次、このHPで深堀していく予定です。

※引用:国土交通省HP

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