【土木鋼構造診断士】専門記述式過去問解答例「磁粉探傷試験」

1.試験の原理

 強磁性体である鉄鋼材料などを磁化すると、多くの磁束が発生しもし割れなどの欠陥が存在すると、磁束が欠陥により遮られ、欠陥を迂回して流れる。このとき表層部の磁束が強磁性体の表面上の空間に漏えいし、強磁性体中に流れる磁束が多いほど、欠陥の面積が大きいほど、また、欠損表面に近いほど欠陥漏えい磁束は多くなる。この磁化された強磁性体に磁粉を散布すると、欠陥漏えい磁束内に入った磁粉が磁化され、欠陥部の磁極に凝集吸着し、欠陥磁粉模様が現れる。この欠陥磁粉模様を見つけ出し、これを評価することで試験体の表層部に存在する欠損を検出する方法を磁粉探傷試験(MT)という。

2.試験の手順

 磁粉探傷試験の手順は、前処理、磁化、磁粉の適用、観察・記録および後処理の5つの処理作業からなる。前処理には、欠陥以外の原因により現れる疑似模様を防止するための清掃および乾燥などが含まれる。磁化の際には、磁束が欠陥になるべく多く遮られる方向で、試験面のなるべく平行になるよう磁化方法を選定する。磁粉は、バックグラウンドとのコントラストの高い欠陥磁粉模様が形成されるよう適用する必要がある。観察・記録では、欠陥磁粉模様の発見率と疑似模様との判別精度が欠陥の検出性能を左右することに留意する。

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