【土木鋼構造診断士】専門記述式過去問解答例「腐食減厚測定」

1.概要

 腐食鋼板の残存板厚は、腐食が進んだ部材の力学性能を評価するために必要となる。引張強度を検討する場合、抵抗断面の減少の程度が、圧縮強度はそれに加えて座屈を誘発するような部分的な腐食が進行していないかが、重要である。土木鋼構造物の残存板厚を測定する場合、実構造物を破壊して測定することは一般的ではないため、非破壊による測定が行われる。

2.測定方法

 腐食の平面的な大きさを測定する場合には、外側測定用のジョウがチップタイプのノギスを用いる。また腐食深さを測定する場合は、ノギスのデプスバーが簡単な方法であるが、小さいピットの場合はデプスゲージを用いる。腐食箇所の形状を正確に測定する必要がある場合には、シリコン樹脂等で型をとり、顕微鏡等を用いて寸法を読みとるレプリカ法を用いる。

 近年では、使い勝手の良さと価格の安さから、超音波パルスを用いて板厚を想定する超音波厚さ計が広く普及している。超音波厚さ計を用いて腐食の進行した部材の板厚を測定する場合には、さびなどの測定面の凹凸をワイヤブラシ等を用いて平滑化する必要がある。また、レーザー技術の発達により、2次元スキャナや3次元スキャナを用いた腐食部材の形状測定が実用化され始めている。

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